坂口美里とガルダスト

「大丈夫?」


 息を切らせながら、ようやくのことで肩まで上り詰めた後に、カオリが心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫大丈夫。これぐらい・・・。」


「やっぱり、異世界人は鍛え方が違うのかしらねぇ~。」


 と言うか、お前がお嬢様なだけだ。


「そ、そんなことないよ・・・それより、いきなりこんな方法で大丈夫なの?」


「何が?」


「ガルダストにビールを注ぎ込むなんて・・・少し科学的な実験データを取ってからの方が良くない?」


「でも、この方法が、一番手っ取り早いでしょ?」


 ・・・・・・・・・・・・・・ごもっとも。


「それに、時間がないのよ。私の家のガトトリノもいよいよ底が見え始めたわ。きっと私の家のガトトリノが底を尽きたら、あのはげ豚は、何をしでかすか・・・。」


 確かに、それは想像したくない。


「そうだね。とりあえずやってみないとね。」


 私は、強い決心を固めると、カオリにビール缶の開け方をレクチャーして、ガルダストにビールを注ぎ込む。


 思ってみたのだが、なんと言う滑稽な光景だろうか・・・。


 二人の女性が、巨大ロボットのエネルギータンクにビールを注ぎ込む。


 ・・・・・・・・絶対、絵にならない。


 全てのビールをガルダストに注ぎ込むと、カオリは起用に胸の位置まで移動して、コックピットハッチを空けた。


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