坂口美里とガルダスト
「そうだけど、別にタダってわけじゃないよ・・・。今日買ってきた分だけで、私の財産スッカラカン。」
わざと、両手を挙げてオーバーリアクションととる私。
「?・・・・お金だったら、私が出したのに・・・?」
確かに、これだけの豪邸に住んでいて、家のはアルマーニスーツの軍団が構えているカオリにしてみれば、ビールを50リットル買うことや、100リットル買うことぐらい、造作もないことだろう。
でもなぁ~。
「そりゃ、こっちの世界のお金とカードが、私たちの世界でも通じるっていうのなら、そうしてもらいたいけど、さすがにそこまでは無理でしょう?」
いくらこの世界が、自分たちの世界と酷似していようが、そこまではさすがに違う。
そこまでご都合主義は通じない。
「違うわ、美里。確かに、私たちの世界での通貨は向こうでは通じないでしょうけど、宝石や金は?それとも、あなたたちの世界では宝石や金まで石ころのような値段で取引されているの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カオリのこの言葉で、私の思考回路はいったん停止した。
・・・・・・・確かにそうだ。
貨幣や、カード事態に威力はなくとも、金や宝石を向こうで換金すれば話は別になってくる。
そのお金を使って、大量のビールを買い込めば・・・・。
「それだ、カオリ!!」
私は大声をあげて、カオリの手をつかんだ。
きっと満面の笑みだったに違いない。
一番の問題は軍資金だったのだ。
そこさえ、解決できればなんとでもなるはずだったのだ。
こんな方法があったなんて・・・。
私たちは、それから喜び勇んで、私たちはガルダストのコックピットの中で、綿密な計画を練った。
と、言っても、所詮は18歳と15歳の考える作戦。
たいした内容ではない。
『宝石を売ったお金でビール(もちろん麦100%天然水使用のお高いヤツ)を大量に買い込み、ガルダストのエネルギーを大量に補給する。』
・・・これだけだ。