坂口美里とガルダスト

「それで?」


「だから、兄貴にはこれから、カオリの影武者となって、お屋敷に戻ってもらいます。」


「はぁ?」


 そりゃ、不思議な声が出るのも当然と言える。


「だから・・・。」


「いや、だって一連の流れを聞いたら、結局は、カオリさんのわがままのために、俺が危険を犯して、身代わりになれってことだろう?納得する方がおかしいぞ。」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに、そのとおりだ。


「でも、風邪引いたといって、布団にもぐりっぱなしでいれば・・・。」


「医者が診れば、すぐにばれる。」


「ぐっ!」


 くそっ・・・どうして、このときばかり、兄貴は正論を述べるんだ。


 そうだよ。確かに、その通りだよ。


 その通りだけど、私はそのために、わざわざ兄貴の服をカオリサイズに調整して、カオリの方でも自分の服も兄貴サイズに調整してもらったんだよ。


 胸パットやブラジャーまで用意したんだぞ。このヤロウ~!


「でも、兄貴さん。・・・面白そうじゃありませんか?」


 地団駄踏んでいる私を見かねたのか、カオリが口を挟む。


 兄貴さん・・・って彼には、坂口睦月という、立派な名前があるのだが・・・。


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