坂口美里とガルダスト

「まぁ、確かにそうだけど・・・。」


「なら、お願いです。大丈夫です。あまりお手数はかけませんわ。昨日の夜、爺やにすべての事情を話しておきました。後は、彼の支持に従っていれば問題はないはずですわ。」


 さすが爺や!!話が分かる!!


 でも、大丈夫なのだろうか。


「だからって・・・。」


「も・ち・ろ・ん。報酬もお支払いいたしますわ。お願いします。私の小さい頃からの夢なのです。未知の世界での大冒険・・・。」


 目を潤ませて下から覗き込むような視線で懇願するカオリ。


 いくら同じ顔をしているからとはいえ、女性にこんな顔をされては、男としては立つ瀬がないだろう。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今日中には帰ってこられるのだろうな?」


 兄貴は私に視線を下ろして口にする。


「もちろん!」


 商談成立。


「ありがとうございます!!このご恩は必ずお返しします!」


 カオリのご丁寧なお礼の言葉は、兄貴の。


「いや・・・。頼むから、俺と同じ顔で、そういうことを言わないでくれ・・・。」


 という言う一言で、一蹴された。


 それから、私は、喜び勇んで、持っていた調整済みの兄貴の服をカオリに渡す。


 そして・・・。


「あ、カオリは化粧を落として、胸はできるだけ押さえつけてね。仮にも男なんだから・・・。」


「分かったわ。」


「そして、兄貴の方だけど・・・。」


 私は、兄貴の方を見ていやらしい笑みを浮かべ・・・。


< 70 / 152 >

この作品をシェア

pagetop