坂口美里とガルダスト

「まぁまぁ、これも人助けだと思って・・・。あと、仕上げはこれね。」


 私はポケットから、最終兵器を取り出す。


 それは、胸につけるタイプの小型マイク。


 本体はポケットに忍ばせといて、マイクそのものは胸元につければ、音を拾ってくれる優れものの機械だ。


「?・・・それは?」


「松本おじさんの発明品。題して『音声変えちゃう君第67号。』」


 命名者は私。


 なぜ、67号かというと、66号までは失敗作だったのだ。


「・・・どういうこと?」


 顔をいぶかしめるカオリ・・・。


 やっぱり、兄貴の姿からカオリの声が出てくると、分かっていてもビックリしてしまう。


「だから、いくら姿かたちを似せても、声が兄貴のままじゃ、さすがにバレちゃうでしょ?風邪気味だって言い訳にも無理があるし・・・。それで、活躍するのがこれ。・・・兄貴、これをちょっとつけてちょうだい。」


 ここまでやっておいて、抵抗する気も失せたのか、兄貴はおとなしくマイクを胸元につける。


 私は、それを起用にレバーで操作しながら・・・。


「あ、兄貴、ちょっと声を出し続けて・・・何か、歌っていいから・・・。」


「お~れ~の妹は~ぺちゃぱい~♪なまい~き~♪世間知らずの~おちょうしもの~♪」


 ・・・・・・・・・・・なんだ、その歌は?


「ハハハハハ・・・。」


 カオリも笑うな!


< 73 / 152 >

この作品をシェア

pagetop