坂口美里とガルダスト
「まぁまぁ、これも人助けだと思って・・・。あと、仕上げはこれね。」
私はポケットから、最終兵器を取り出す。
それは、胸につけるタイプの小型マイク。
本体はポケットに忍ばせといて、マイクそのものは胸元につければ、音を拾ってくれる優れものの機械だ。
「?・・・それは?」
「松本おじさんの発明品。題して『音声変えちゃう君第67号。』」
命名者は私。
なぜ、67号かというと、66号までは失敗作だったのだ。
「・・・どういうこと?」
顔をいぶかしめるカオリ・・・。
やっぱり、兄貴の姿からカオリの声が出てくると、分かっていてもビックリしてしまう。
「だから、いくら姿かたちを似せても、声が兄貴のままじゃ、さすがにバレちゃうでしょ?風邪気味だって言い訳にも無理があるし・・・。それで、活躍するのがこれ。・・・兄貴、これをちょっとつけてちょうだい。」
ここまでやっておいて、抵抗する気も失せたのか、兄貴はおとなしくマイクを胸元につける。
私は、それを起用にレバーで操作しながら・・・。
「あ、兄貴、ちょっと声を出し続けて・・・何か、歌っていいから・・・。」
「お~れ~の妹は~ぺちゃぱい~♪なまい~き~♪世間知らずの~おちょうしもの~♪」
・・・・・・・・・・・なんだ、その歌は?
「ハハハハハ・・・。」
カオリも笑うな!