坂口美里とガルダスト
ろくしょう

 次の日の朝。


 カオリは私の部屋で寝たため、お母さんがものすごくビックリしていた。


「む・・・睦月、あなたどうして美里の部屋なんかに・・・まさか!」


 そんなとっても歪んだ現代社会な想像をしている母親を、勉強を見てもらっているうちに、お互いに寝てしまったという言い訳を使って、朝食をとる。


 問題は、そこから発生していた。


「美里・・・これ、どうやって食べるんだ?」


 無理やり兄貴口調を作っているカオリがとっても面白い。


 ちなみに今日の朝食はご飯に味噌汁。納豆、卵とどこにでもある日本の朝食。


 あぁ、カオリは箸の使い方が分からないのか・・・。


「え・・・えっと・・・。」


 教えてあげたいのは山々なのだが、さすがにお母さんとお父さんの前で、いきなりそんなデンジャラスな行為は取れない。


 ならば、取れる手段は一つ。


「え?兄貴、朝ごはん食べないの?仕方ないなぁ~。そっか、昨日あんなに夜遅くまで頑張っていたら、食欲もなくなるよね。ウンウン・・・。それじゃあもう行こう。兄貴。」


 無理やり、手をつかんで、カオリを立たせ、半ば引っ張るように玄関に向かう。


「え、あ・・・わた・・・じゃなくって俺は・・。」


「いいからいいから・・・。それじゃあ、お母さんお父さん行ってきます。」


「え、行ってくるって・・・今日は二人ともお休みじゃないの?」


 台所から出て、玄関まであと一歩というところで、お母さんから慌てた声が聞こえた。


 確かに今日は平日だが、県民の日だとか何とかで、県いったいの公立学校はお休みなのだ。


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