坂口美里とガルダスト
「あ、いや。今日は珍しく二人でデートでもしようかなぁ~と思って・・・ハハハハ・・・」
苦しい・・・。
かなり苦しい・・・。
さっきの朝食の断り方だって苦しかったのに・・・。
これ以上は無理かもしれない・・・。
「デートって・・・あなたたち、そんなに仲良かったっけ?・・・・!ハハ~ン。ハイハイ。ちょっと待っててね。」
何かを勘違いしたのか、一度台所に戻る母親。
そして、もってきたのは残飯一式。
「何を拾ったのか分からないけど、生き物は玩具じゃないんだから、ちゃんと飼ってもらえる人を探すのよ。犬や猫ならペットショップでも引き取ってもらえるトコロがあるから、一度聞いてみなさい。」
おか~さん。私たちは別に、生き物を拾ったわけじゃないよ。
「あ、うん・・・分かった。やっぱりバレちゃったか?」
でも、ここは、とりあえず調子を合わせておこう。
その方が身のためだ。
「何年あなたたちと付き合ってると思っているの?それと、睦月もこれからは、朝食を抜くようなマネはしないでちょうだい。いくらいい成績をとっても、身体を壊したら元も子もないんだから。」
「え・・・あ、うん。ごめんお母様。」
お母様!!?
「あれ、睦月・・・声おかしいわよ。もしかして風邪引いた?」
まずい!
「あ、いや。そんなことないよ!!全然!!まったく、これっぽちも!!いいから行こう兄貴。それじゃあねお母さん。夜には帰ってくるから。」
「ハイハイ・・・あまり遅くなるんじゃありませんよ。」
「分かってるよ!」
これ以上お母さんと一緒にいたら確実にばれると思った私は戦術的撤退を強行した。
時には逃げることも生きる上では必要だ・・・。
玄関にある運動靴に足を通して、外に出る。
その瞬間。