坂口美里とガルダスト

「美里・・・。靴、履けない・・・。」


 だ~!!


「足を通せばいいだけよ。」


「大きいわね。」


「兄貴のだからね・・・なんなら、私の靴はいてみる?」


「いや、これがいいわ。」


 なぜかカオリの顔はうれしそうだった。


 何が、そんなに楽しいのか・・・?


 不思議と思いながらも、今はそんなものを尋ねる精神的余裕がないため、黙ってカオリが靴を慣らすのを見守る。


「ごめんなさい。もう大丈夫よ。」


「了解。それじゃあ、行こう。」


 カオリの手を引っ張り、いざ出発。


 今日も五月晴れと呼ぶにふさわしいいい天気だ。


「ごめんね・・・いきなり、朝からこんなトラップが待っているとは、予想外だわ。」


 相変わらず、閑静といえば、見えなくもない小さな住宅街を、カオリと一緒に歩きながら、口にする。


 そう考えると、これから先どんなトラップが待っているのか・・・


 これは想像以上に困難な旅になるかもしれない。


 今頃、兄貴もお屋敷で苦労しているんだろうなぁ~・・・。


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