坂口美里とガルダスト
「そう?私は楽しかったわ。ご飯が食べれなかったのは残念だけど・・・。ねぇ、それは食べちゃダメなの?」
カオリが私の手に持っている残飯を指差す。
何を言い出すんだ。このお嬢様は・・・。
「ダメだめだめだめ!!・・・これは人間の食べるものじゃないよ・・・そうだな。公園の鳩にでも上げよう。うんうん。」
私は、一人で自己完結させると、とりあえずあの日フリマが開かれていた山の内公園に向かう。
フリマが開かれていなければ、田舎の寂れた公園。
お休みだというのに、人はマバラにしかいない。
私たちは、その一画のベンチに座って、残飯をばら撒きはじめる。
しばらくして、集まってくる大量の鳩。
これじゃあ、まるで私たちお婆さんだよ・・・。
「それにしても・・・正直、驚いたわ。感動と言ってもいいかもしれないわね。」
鳩に残飯をあげながら、ふと、カオリが声を上げた。
「?どうしたの、突然」
「ううん。ただ・・・私は朝食を食べなかったコトに対して、母親にあんなふうに言われたことはなかったな・・・と思ったのよ。」
笑顔を作るカオリ。
それが、無理やりだということは考えなくても分かる。
「・・・?」
最初はそれが、なんであるのか分からなかったが、少し彼女を眺めて、とある事に気がつく。
「!・・・あぁ、アレだね。お金持ちゆえに、お父さんやお母さんと接する機会が少なくて、いつも家族で一緒に食事をする家が羨ましいとか、そういうセレブにありがちな庶民への憧れ?」
「・・・・何、それは?」
どうやら違ったらしい。