坂口美里とガルダスト
「逆転の発想ね。慰めとも取れる考え方だわ。『自分はそういう人間だから』って勝手に思い込むことで、今の現状があるのは仕方がないと考える・・・。虐待を受けている子どものソレと近いものがあるわね・・・。でも、私は、そういう考え方は嫌いじゃないわ・・・。それできっと見るならば、私があなたたちに嫉妬とも憧れとも取れる感情を抱いてしまうのは、私が上級階級であるからである・・・とも受け取れるでしょうしね?」
「カオリ・・・・たぶん、それは違うと思うよ。」
「なら、美里はどう考えているの?」
「分からない。なんとなく、思いだしちゃったから、口にしただけ。」
「何それ?」
フフフとカオリが口をあけて笑ったので、私も続いて一緒に笑った。
二人でしばらくの間、そうやって意味のない笑いを続けた後。
「さて、行きますか。こんなところでいつまでも、じっとしていても仕方がないよ。」
「そうね。このままアルタスの野望が完成してしまっては、一番の被害にあうのは、そんな私が憧れを抱いている中級階級の人たちですもの。」
それは、確かにかわいそうだ。
私たちは、改めて意志を固めると、再び歩き出した。