坂口美里とガルダスト
ななしょう
「本当のコトを言うとね。私達の世界では、ああいう食事を食べることは、法律で禁止されているのよ。」
「え?」
マックを後にして、真っ先に私たちが立ち寄ったのは、近くにあった公園のトイレだった。
慣れないものを食べたから、カオリがお腹を壊したらしい・・・。
一応、つられて私も中に入る。
「私達の世界では上級階級の食べられるものは制限されているの。貴族階級はその階級ゆえに、場合によっては自由を制限されるのよ・・・。だから、あなたたち庶民が食べるような食べ物には、ずっと憧れていたわ。」
普段、私たちがどんなに食べたいと思っていても、決して食べられないものを食べていながら、カオリはそんなコトを口にする。
ある意味、イヤミだぞ・・・それは。
「だったら、ショックだったでしょ?あまり、美味しいものじゃなくてさ・・・。」
「ううん。まさか・・・味は確かにたいしたことはなかったけど、あんなに楽しんで食事をしたのなんて久しぶりよ。」
「楽しい?」
ご飯の感想に対して「楽しい」なんて言葉はあまり聞かないような気がするのだが・・・。
「食事なんてね・・・結局はお腹の中に入ってしまえば、みんな同じよ。美味しい、不味いも一時の感動でしかないわ。・・・でもね。楽しい食事は、いつまでも私の中に残るわ。それはいい思い出になって、きっと私は近いうちに、またマックに行きたくなるでしょうね・・・。」
「そういうもんかねぇ~。」
「そういうものよ。」
「ふ~ん・・・。なんだか、兄貴のしそうな話だな。」