Birth
「夏実さんは、どっちがタイプですか?」




いずみが、キラキラした目で聞いてくる。




「私? 私は… 仕事のデキる方。」



一瞬、みんなが黙る。


でもそんなの、お構いなしに私は続ける。



「だってさー。イザという時に指示出せなくてオタオタしたり、ちょっと意見言ったら逆ギレされたり。
そんなのやりにくくて、仕方ないでしょ?
やっぱ仕事が確実で、素早いってのが一番よ!」




ほうっ… というタメ息のような声と、みんなのニヤニヤした顔。




「さすが夏実さん! 男前!」


いずみが、言い切る。




「あのさ… それ、誉め言葉?」



その場に居たみんなが一斉に笑う。





私はいつも、こんな感じ。

言いたい事はハッキリ言うし、色気もない。




まぁ… この気の強さが災いして、トラブッた事もあるんだけど。




社会人になって10年。



30才を越えて、これでも少しは大人になったと思うのよ…



自分では…




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