Birth
「ごめんね…」




私の声に、振り返る隼人。





「なに謝ってんだよ?」





「迷惑かけたみたいだから…」




「俺が怒ってるのは、会えなかったら帰るつもりだったって事! お前いつから、そんなに控えめな女になったんだよ。
今日は帰るな。ウチに泊まれ!」





「ねぇ、何でそんなに命令口調なの? 私の都合とか聞かないの?」




グイグイ引っ張って歩く隼人に、ちょっとカチンときた。





すると私の言葉に立ち止まり、振り返った隼人。





「…やっと、いつもの調子になってきたな。しおらしいのなんて、似合わねーの!」



そう言って、ニッと笑う。





「何よぉー。さっきも今も、全部私なんです!」




そう言いながらも、繋いだ手をギュッと握り、彼に寄り添った。









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