Birth
すると…



急に黙り込んだ隼人は、いきなり狭い路地に入り、ビルの階段の裏に私を引っ張った。






「なに? どうしたの?」





彼の顔を見上げた途端…




抱きしめられた。









「ダメだ… 我慢できない…」




そう言って




キスをした。








「夢じゃないよな? ホントに… 夏実がココにいるんだよな?」





熱いキスの合間に、ささやかれた…






「うん… 夢じゃないよ、隼人…」 




私は、彼のシャツをギュッと掴んだ。







彼の言葉で…




彼の熱い吐息で…






私の中の、松尾さんの存在は




どんどん小さくなっていった。










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