Birth
「なっ!… そ、そんな事、言われたのか?」 




…かなり、焦ってる。





「ううん。言われてないけど、何となく分かったよ。 …大丈夫?」




まだ隣で少し咳き込む、隼人の背中を軽く叩く。







「何もないから! いや… ないって言うか… その… そんな風なこと言われたけど… 彼女いるって言ったし。
松尾さんの事は、何とも思ってないし。もちろん浮気なんて、してねーからな!」




あまりにも必死な顔で、ちょっと、おかしくなった。




「うん、分かってる。大丈夫だよ!」




笑いながら、彼の腕にソッと触れた。






さっきの松尾さんの言葉には、隼人を好きな気持ちと、彼が振り向いてくれない悔しさと、私に対する嫉妬…




そんなのが、入り交じってた気がする。





そして、こうやって正直に話してくれる彼が、やっぱり好きだ。




隼人は二股をかけられるほど、器用な人じゃない。




もし私より好きな人が出来たら、きっと私にそう言って、別れてくれと言うだろう。




そんな人だから…




これからも、信じていける。






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