Birth
「ありがと!」




隼人と腕を組み、駅までの道を寄り添って歩く。




満足そうに笑う彼は、思いがけない事を言った。






「俺、あと1年で帰れそうだよ。来年の春には、戻ってくる。」





「…ホントに?!」




私は歩道の真ん中で、大きな声で叫んだ。





「デケーよ、声。多分、大丈夫だ。」




ニッと笑う隼人に、人目も気にせず、抱きついてしまった。








列車に乗り込む彼と、そっとキスをする。





「あと1年頑張ろう。寂しくなったら、また来い!」




「うん!」




私は笑顔で、彼の姿が見えなくなるまで手を振った。








それから、1年…




私たちは、お互い自分の居る場所で頑張った。




私は、やっぱり途中でくじけて、何度か会いに行ったけど。







そしてまた春がきて…




私は35歳の誕生日を迎えた。









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