Birth
第三章

人気者

「失礼しまーす。」



大部屋に入ると、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。



三人の患者さんが、何かの話で盛り上がってる。



「ねぇ、紺野さんは杉町先生と成海先生、どっちのファン?」



一人の患者さんに声をかけられた。



「えっ?」



「私は杉町先生! 優しいし、爽やかだし、丁寧だし。」



私の返事も聞かずに、その患者さんは話し続ける。



「あら! 成海先生もクールで素敵よ! ちゃんと話は聞いてくれるし、傷跡も残らないようにしてくれたし。」



「でも成海先生ちょっと怖くない? あんまり笑わないしー。」



「そんな事ないよー! たまに見せる笑顔がいいんじゃない!」



「成海先生の肩幅の広さ、イイ!」



「杉町先生の手、きれいよ〜」





 …ここもか…



私に話しかけた事など忘れて、また三人で盛り上がってる。




ここはナースだけじゃなかった。


患者さんも、女の園だった…





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