Birth
出て行く成海をドアの所まで追いかけた。




「ありがとうございました。あの時先生が来てくれて、ホント…助かった。」




「へぇー… 紺野さんに礼言われるなんて。雪でも降るんじゃねーの?」



からかう様な口調で、面白そうに笑う。




「何ですか、それ。私はいつも、素直な気持ちを言ってます。」



「なるほどね。嬉しい時もムカついた時も、素直っていう事か。」



またも笑う成海。



「あのですねー…」



「ハイハイ。じゃあ、後よろしく。」




私の言葉をさえぎって、ニッと笑って出て行った。





あれが… 患者さんの言ってた、時々見せる笑顔?



やんちゃ坊主が、いたずらに成功して笑うみたいに…


嬉しそうな、楽しそうな顔で。




何か… 不覚にも、ドキッとしてしまった。






でもホントは



もっと前からホッとしてた。



成海がナースステーションに現れた時から。



彼なら何とかしてくれるって。



安心したんだ。




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