Birth
「赤ちゃん、欲しかったの?」



ある日、私は思いきって聞いてみた。



「・・・・」



黙って首を横に振る。



「エッチしたら妊娠するかもしれない事は、知ってた?」



「…知ってた…」


小さな声。



「彼、避妊してくれなかったんだ。」



「・・・・」



「避妊してって、言えなかった?」



小さくうなずく彼女。



「こんなに大きくなるまで、誰にも相談出来なかった?」



また、小さくうなずく。



「彼に妊娠した事、伝えなくていいの?」



「いい… もう会わないから…」



「自分だけで、育てるの?」



「・・・・」



下を向いてしまい、何も言わなかった。



「相談したらよかったのに… 誰でもよかったんだよ。友達でも、兄弟でも、親でも、先生でも。あなたが話せる人なら、誰でも。」



私がそう言うと、彼女はポロポロと涙をこぼした。




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