Birth
「そんなに… 顔に出てた?」



私はうつむいて、つぶやいた。




「いや。ちゃんと笑えてたから、二人は気付かなかったと思うよ。」




「先生は… 分かったんだ。」




「まぁな…」




こんな所も、鋭いんだ…




そう。私は香田さんの事が、好きだった。



入院してきて、初めて会った時から。



飾らない人柄で、優しくて、ユーモアもあって、男らしくて。



本気で、好きになってしまった。






だから結婚の事を聞いて、かなりショックだった。




相手が夕希さんなら、仕方ない。


大好きな夕希さんなら…って、必死にあきらめた。





割り切ったつもりで出席した、結婚パーティーだったけど。



でもやっぱり心から祝福できない、自分がいたんだ…



こんな、ちっぽけな自分が嫌になる…





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