Birth
「じゃあ、みんな辞めたら… 無くなるの? うちの産婦人科。」



思わず、いずみの腕を掴んだ。




「今、代わりの人探してるらしいですけど。このご時世ですからね… どうなるんだろ…」



いずみも不安気な表情。





今、11月。来年の春までになんて、見つかるんだろうか…





私、いずみ、夕希さん、その他数名は助産師として、この病院に勤務している。


うちは内科と混合だから、看護師もしてるけど。


でも基本的には出産を扱う助産師として、働いているのだ。




産婦人科が無くなると、もう私達は助産師として働けなくなる。






その噂は、あっという間に広がった。



上司から、一応説明はあったけど、


『今、全力で探してる』


という、何の進展もないものだった。






「どうなるんだろね…」


誰かが、つぶやいた。



みんな、不安なんだ。



でも私達には、どうする事も出来なくて。



不安な気持ちを抱えたまま、日々の仕事に追われていた。





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