赤色ライオン
里津はその頃下駄をカラコロと鳴らしながら歩いていた。

しなりしなりとあるくその姿はまさに大和撫子である。

「ナンパなんてされるわけないでしょ、お母さんも過保護なんだから…。」

里津は校舎裏の一見以来体を鍛え護身術を身につけた。

あんな無様な姿を三木拓真に見られたのはやはりくやしい。

もうあんな姿誰にも見せることがないよう臆することなく凛としなければ…。

そうこうしてるうちにこよみの家についた。

待ち合わせは近くの駅。

里津は家が近いこよみと駅に行くことになっていた。

インターホンを鳴らすと、こよみ特有の甲高い声がインターホンの音声口から聞こえてくる。

「あ、里津ー!ちょい待って!今いくからさー」

そう言うと今度は家の中からいってきまーすと、こよみの元気な声が聞こえてきた。

ガチャン。

扉が開くと、姿を現したこよみが浴衣を見にまといこちらにやって来た。

「あ、里津!浴衣でちゃんときたね!眼鏡要らない!えい」

ちゃっと眼鏡がこよみに奪われた。

「どうせだてだし無くてもいいよね?」

「いや、そうだけど…。」

「いらない、よね?」

「…………………………。」

「ね?」

笑ってるのに、こよみは怖かった。

「うん…。」
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