その恋の行方は…【完】
本当は強く抱きしめて、得体のしれない辛い気持ちを全部吸い取ってやれるものなら、

吸い取ってやりたいと思った。


でも俺は、ほのかの友達ではあっても恋人ではない。

彼女にとって恋人は今でも眞人ただ一人なのだから…


あふれ出そうになるこの感情を俺は手の中で握りつぶす様にぐっと心の奥深くに押し殺した。

この手にすべての思いを込め、優しく撫で続ける。


ほのか俺がそばにいるから大丈夫だと…


どれだけそのままにしていたのだろう?

ほのかの呼吸が規則的になって…

いつの間にか目を閉じて眠っていた。

泣きつかれたその姿が…

弱々しくて…

消えてしまいそうだった。

片手を握ったまま、初めて見るほのかの眠る姿を俺はしばらくじっと見つめていた。

その姿は天使のように清らかだった。


いったい何があったんだ?

しばらくしてからほのかの心をのぞこうとしても、そこは混乱しどす黒いものが

絶えず渦巻いていて胸が締め付けられるほど痛かった。

何かがわかるような状態ではない。こんな感情に入り込むと俺まで巻き込まれてしまう…

まだ無理だ。

感情をまた遮断して、いら立つ。


どうしてこんなことになったんだ?
< 9 / 27 >

この作品をシェア

pagetop