笑ってくれますように
ビニールの包装を破り、貼らないタイプのカイロを出す。
ある程度振っていると、カイロが少しだけ温かくなった。
そして、彼の手に、カイロを握らせる。
「まだ冷たいけど、ごめんね。……ていうか、あんまり役に立たないかも。」
自分で苦笑する。
「あ、そういえば、下でみちるが待ってるんだった。」
私は、慌てて、プリントを自分の机から取り出すと、教室から出た。
心はドキドキしたままだけど、
それは嫌なドキドキじゃない。
何かの始まりの予感がした。