笑ってくれますように
「好きになってくれて、ありがとう。」
私の言葉に、近江くんは驚いた。
「近江くんに好意を抱いてもらえたのは、本当に嬉しいよ。」
ありがとう。
好きになってくれてありがとう。
近江くんは最後に笑うと、荷物を持って教室をあとにした。
私も、再び自分の席に座る。
シャーペンを持たずに、寝そべった。
……初めて、告白を断る辛さを知った。
相手の想いがわかるから、断ることに躊躇った。
恋の辛さを知っているから、簡単にフることは出来ない。
そして、それだけ想われる嬉しさもわかった。