笑ってくれますように
さっき、急いで教室に来たら、近江の声が聞こえた。
「莉乃ちゃんが好きだよ。」
ピタッと立ち止まった拍子に、扉に手があたって物音がたってしまった。
「好きな人いるよ。」
そう言った莉乃。
すごく、胸が締め付けられた。
「好きだ……」
今言ったって、伝わらない。
伝わって欲しい訳じゃない。
それでも、無防備に寝ている姿に、つい声に出してしまう。
「誕生日、おめでとう。」
直接渡す予定だったプレゼントは、莉乃のカバンに入れた。
……1人で帰らせたくないし、起きるのを待ってるか。
俺は、莉乃の前の席に座る。