笑ってくれますように
「こんな時間に女を1人で帰らせらんないし。」
瀬越はそう言うと、玄関目指して歩き始めた。
「ま、待って!」
慌てて追いかけて。
気付けば、一緒に帰っていた。
「そういえば、瀬越は何の用だったの?」
「あぁ……んーと、まぁ……」
珍しく歯切れが悪いな。
「………誕生日おめでとう。」
「あ、ありがとう!」
好きな人に祝ってもらえたのが嬉しくて、にやける。
「ばーか。」
「ば、ばかじゃないっ」
珍しく、私は冷たい態度じゃなくて。
瀬越とこうやって話せるのが嬉しかった。