笑ってくれますように
手の空いていた私は、包丁を手に取った。
「ごめんねー。莉乃ちゃんは、もう仕事終わってるのに……」
「気にしないで。好きで残ってるんだから。」
実は、私たちの屋台は思ったよりも繁盛した。
おかげで、私が抜けたくても抜けられない。
ただでさえ、手が足りないのに、誰か1人でも抜けたら大変だ。
もう少ししたら、大幅に交代する時間だし、
その時間まで耐えたら、ここで頑張っているみんなも交代できるだろう。
「キャベツこれね。
じゃあ、私は戻るから。」
既に洗ってあるキャベツを1玉渡され、まな板の上に置く。