笑ってくれますように
「……あっ…」
左手の人差し指を見れば、真っ赤な血で手が染まっていた。
「………いった…」
意識してしまえば、痛みが増した。
「お前、なにしてんだよ?!」
横から怒鳴り声が聞こえてきて、顔を向けると瀬越がいた。
「すげぇ血が出てるだろ!
早く保健室行くぞ!」
瀬越は、私の手を掴むと私を引っ張って走り出した。
「え?!あ、ちょっとまって!」
私の声には耳を傾けずに、瀬越は走る。
慌てて後ろを振り返ると、ちょうど交代の人たちが屋台に来たところだ。
良かった……私たちがお店を抜けても人は足りそう。