笑ってくれますように



「……あっ…」



左手の人差し指を見れば、真っ赤な血で手が染まっていた。




「………いった…」



意識してしまえば、痛みが増した。




「お前、なにしてんだよ?!」



横から怒鳴り声が聞こえてきて、顔を向けると瀬越がいた。




「すげぇ血が出てるだろ!
早く保健室行くぞ!」



瀬越は、私の手を掴むと私を引っ張って走り出した。




「え?!あ、ちょっとまって!」



私の声には耳を傾けずに、瀬越は走る。




慌てて後ろを振り返ると、ちょうど交代の人たちが屋台に来たところだ。




良かった……私たちがお店を抜けても人は足りそう。





< 114 / 197 >

この作品をシェア

pagetop