笑ってくれますように
「そういうことか……」
なんだ。
簡単なことじゃない。
瀬越ならモテるし……やっぱりこういう子とのほうがお似合いだよね。
「瀬越。ありがとう。もういいよ。」
手当してくれていた瀬越の手から、自分の手を抜く。
「もういいってお前、まだ血が出てるだろ。」
私の手を掴もうとする瀬越から手を遠ざける。
「放っておいて。女の子を待たせちゃダメでしょ。」
私は、舞花ちゃんに軽くお辞儀して保健室を後にした。
「おい莉乃っ!!」
瀬越の声が後ろから聞こえた気がしたけど、私は振り返らなかった。