笑ってくれますように
「いや、でも好きじゃない人と一緒に帰るなんて……」
そもそも、瀬越って彼女いたじゃん。
「あー、もうごちゃごちゃうるさい。
いいから、帰るぞ。」
私の手を握ると、歩き始める瀬越。
いつもなら、引っ張られて痛いくらいなのに、
今日の瀬越の手の握り方は優しくて。
ふらふらの私を支えながら歩いてるから、歩きづらいだろうけど歩幅を合わせてくれて……
優しい瀬越に、言いたい言葉は何も言えなくなった。
「今日、親は帰ってくるのか?」
「………ちょっと遅くなるらしい。」
微妙な答え方の私に、瀬越は怪しんだ。