笑ってくれますように
「どうかした?」
頭上から聞こえた、優しい声。
突っ伏していた机から顔を上げると、目に入った男の姿。
「近江くん?」
「うん。」
頷いた彼はにっこりと笑っていた。
「あのね……たいしたことじゃないんだけど、この問題が……ね。」
私は苦笑いしながら、目の前の問題を指差した。
「これ?この問題なら……」
近江くんは丁寧に説明をしてくれた。
「……-あ、そっか。それだけのことだったんだ。」
「そうそう。いつもの莉乃ちゃんなら出来たと思うけど……何かあった?」