笑ってくれますように
「あ……あれって瀬越じゃない?」
みちるの視線を辿ってみると、確かに瀬越がいた。
けど……
「チョコ渡されてるね。」
瀬越は廊下の端っこで、後輩の女の子にチョコを差し出されている。
「あ、断ったのかな?」
瀬越は後輩の女の子からのチョコは受け取らずに、こちらに向かってきた。
「莉乃じゃん。はよ。」
「おはよ……」
瀬越がモテることは百も承知だ。
それでも、こうやって目の前で事実を見るのは……正直きついかも。
「うん……おはよう。」
「なんでテンション低いんだ?」