笑ってくれますように
そのまま瀬越とみちると一緒に教室まで向かった。
「おはよう。」
ガラガラという音と共に、ドアを開ける。
「そういえば、莉乃。今日は何の日だ?」
「バレンタインデーでしょ。」
どうしても、さっきまでの瀬越と女の子の様子が頭に残っている。
「じゃあ、チョコくれよ。」
チョコ………
私があげるとしたら、絶対に義理でなんて、あげたくない。
でも、もし本命であげて……断られたら?
あの時の女の子は、瀬越が背を向けた瞬間、泣いていた。
座り込んで、声も出さずに泣いていた。
「あ……あんたなんかにチョコなんてあるわけないでしょ!」