笑ってくれますように
出た言葉は、それだった。
フられて、今みたいな関係も壊れてしまうのが怖かった。
あの女の子の姿が、まだ目の裏に焼き付いて離れていなかった。
「……ああ、そうかよ。」
胸がいっぱいな私に返ってきたのは、怒った瀬越の言葉だった。
「俺なんか眼中もないってことかよ。」
その表情は、怒っているはずなのに、悲しそうだった。
「じゃあ、いいや。」
「え、瀬越まって『キーンコーンカーンコーン』
瀬越は自分の席に行った。
そして、その日。
彼は放課後になっても一度も私と話さなかった。
……目すら合わせなかった。