笑ってくれますように
突然、大きな体に包まれた。
「ーーー瀬越?」
「本当に何なんだよお前。」
冷たい言い方なのに、さっきよりもずっと優しい声。
瀬越はブレザーもコートも前を開けてるから、私の涙は彼のシャツを濡らしていく。
「バレンタインだから…義理でもお前から貰えるのが楽しみで。」
瀬越は私を抱きしめる腕に力を入れた。
「朝から馬鹿みたいにワクワクしてたのに……あんなこと言われて。」
瀬越……?
「今更おせぇよ!」
ああ……フられるんだ。
覚悟はしていたけど、辛いよ。
「それでも、俺の方が好きだバーカっ!」