笑ってくれますように



「あ……着いちゃった。」



いつの間にか、莉乃の家の前にいた俺たち。



莉乃の表情から、離れたくないなって思ってることがわかる。



それが嬉しくて、俺は莉乃を抱きしめた。




「瀬越?」



首に回した手でさっき買った、ハートのネックレスを付ける。




「わぁっ!!」



俺が体を離すと、自分の首を見て嬉しそうに笑う莉乃。



その笑顔に……俺は惚れたんだよな。




実は、バレンタインに告白された桜の木は、俺が入学式の日に、初めて莉乃を見た場所。




体育館に行く道で迷って、着いた先にある大きな桜の木。



その下に、嬉しそうに微笑んでいる莉乃がいた。




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