笑ってくれますように
その笑みが可愛くて。
名前すら知らないのに、その子に愛おしい想いができた。
入学式で全員の名前を呼ばれて。
違うクラスのその子の名前を覚えた。
『逢坂 莉乃』
その日から、俺の目には莉乃しか映らなくなっていた。
「瀬越……これ、貰っていいの?」
莉乃の声で現実に引き戻される。
大切そうにハートを握りながら、莉乃は上目遣いをしてくる。
……反則だ。
俺は、そっと莉乃に唇を合わせる。
「///」
触れるだけのキス。
それなのに、真っ赤になる莉乃は本当に可愛い。