笑ってくれますように
「これだから、莉乃は。まぁいいわ。一限目の英語、莉乃が当たるよ。」
「え、嘘っ?!」
「本当。今から予習しときなさい。」
私は、慌てて自分の席に向かった。
英和辞典と教科書を出す。
「ここの和訳は、この単語がきてるから…あ、こうか。」
必死に和訳をして、教科書に書き込んでいく。
「おはよう。朝から偉いな。」
すると、隣の席の椅子が動いた音がする。
「あ、近江くん。おはよう。」
爽やかな笑顔で挨拶してきたのは、隣の席の住人、近江 蒼 (おうみ あおい)君。
出席番号順の席で隣になった。
テニス部の部長兼エースで、成績優秀。
近江くんもかなりのモテ度だ。