笑ってくれますように



「じゃ、じゃあねっ!」




私は恥ずかしくて、早くここから立ち去りたかったのに




「待って。」




呼び止められた。




掴まれた腕に熱が集まる。



触れられてるだけで、心臓の鼓動が速くなる。





「俺の誕生日、覚えててくれたの?」



いつもの瀬越とは違う、真剣な声。




「別に、自己紹介の時から覚えてた訳じゃないからっ」




あ………自滅した。




「そっか。そんな前から覚えてくれたんだ。ありがとな。」




「………うん。それ、気に入らなかったらごめん。18歳、おめでとう。」




私は、2回目のおめでとうを言うと、教室を出た。



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