笑ってくれますように
そんな彼の姿を見ていたら、鼓動が高まった。
何だろう?
この気持ち。
瀬越くんを見ていると、ドキドキしてしまう。
「不思議……」
今まで、知らなかった感覚に、少し戸惑う。
「風邪、引かないといいけど…」
春になったとはいえ、夕方はまだ肌寒い季節。
そういえば、私は寒がりだから、冬の間はカイロを常備してたなぁ。
「あ……もしかしたら。」
ブレザーのポケットに手を入れてみると、ビニールが当たった感覚がした。
取り出してみると、やっぱりカイロだった。