笑ってくれますように
コツコツと響くシャーペンの音。
既にもう人はいなくて、私は1人だった。
結構集中して、色などで要点をまとめていく。
教室って案外いいかも……と、ルーズリーフが半分埋まった時だった。
「莉乃ちゃん」
教室が開く音と共に、近江くんが顔を覗かせた。
「近江くん、まだ残ってたの?」
部活のある彼が残っているなんて珍しい。
「僕は今日、日直だったから、日誌書いて職員室に行ってきたところ。
良かった。莉乃ちゃんがまだいてくれて。」
莉乃ちゃん……か。
まだ、その呼ばれ方には違和感ある。