ロング・ディスタンス
 格闘技の世界はもう忘れた。今では、自宅に道着すらない。
 全てを失った太一は、心機一転医大入試に挑んだ。左脚の治療とリハビリでお世話になった医師に影響され、彼は外科医を志すようになった。小児科医と産婦人科医と並んで、仕事がキツくてなり手のない専門だが、彼はあえて外科医を目指した。猛勉強の末、国立大学の医学部の3年次編入した彼は、篤志家の助成金を受けながら医科の勉強に励んだ。
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