ロング・ディスタンス
 そしてポケットから小さな金属片を取り出す。
 あの指輪だ。

 彼女は右手の中に指輪を握り込み、勢いをつけてそれを宙に放った。
 朝日を反射しながら、それはあっという間に中庭へ落ちていった。

 凍てつくような寒さにもかかわらず、栞はとてもスッキリした気分になった。
 
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