ロング・ディスタンス
「だいぶ良くなったみたいだね」
ハンドルを握る太一が言う。
一か月半ぶりに会う栞は血色が良く、体型もふっくら元どおりになってきた。
「お陰様で復活しました」
「そうかい。それは一安心だ」
「だって、病気を完治させないとここへ来られないもの」
栞がそう言うのを聞いて、太一はフッと微笑む。
「仕事は?」
「こないだ面接に行ってきたんです。新しい職場が決まりました」
「転職したのかい?」
「ええ。色々考えて大学病院は辞めることにしました。思い切って環境を変えたかったんです」
「そうかい」
もしかしたら栞は神坂のいる職場から離れたかったのかもしれない。
「今度は私立病院の契約社員ですけどね。今はその方がいいんです。残業もあんまりないし、定時で上がれるから体に負担が少ないんです。がんばり次第で正規職員になる道も開けているから、体調が完全に戻ったらまた仕事に励みますよ」
「そうか。色々と大変だったんだね」
「先生の方こそ、新しい職場に慣れるのに大変ではなかったですか」
「そりゃあ、もう。俺たちがいた病院での研修も大変だったけど、こっちはこっちで別の大変さがあるよ。仕事の仕方も違うしさ」
太一は栞に新しい生活のことを思いつくまま述べた。
「ところで船旅でお腹が減っただろう。まずはランチを食べにいこう」
ハンドルを握る太一が言う。
一か月半ぶりに会う栞は血色が良く、体型もふっくら元どおりになってきた。
「お陰様で復活しました」
「そうかい。それは一安心だ」
「だって、病気を完治させないとここへ来られないもの」
栞がそう言うのを聞いて、太一はフッと微笑む。
「仕事は?」
「こないだ面接に行ってきたんです。新しい職場が決まりました」
「転職したのかい?」
「ええ。色々考えて大学病院は辞めることにしました。思い切って環境を変えたかったんです」
「そうかい」
もしかしたら栞は神坂のいる職場から離れたかったのかもしれない。
「今度は私立病院の契約社員ですけどね。今はその方がいいんです。残業もあんまりないし、定時で上がれるから体に負担が少ないんです。がんばり次第で正規職員になる道も開けているから、体調が完全に戻ったらまた仕事に励みますよ」
「そうか。色々と大変だったんだね」
「先生の方こそ、新しい職場に慣れるのに大変ではなかったですか」
「そりゃあ、もう。俺たちがいた病院での研修も大変だったけど、こっちはこっちで別の大変さがあるよ。仕事の仕方も違うしさ」
太一は栞に新しい生活のことを思いつくまま述べた。
「ところで船旅でお腹が減っただろう。まずはランチを食べにいこう」