ロング・ディスタンス
 食事の後、二人は浜辺に降りた。
 目の前には青緑色のきれいな海が広がっている。
 ところどころ、ウェットスーツ姿のサーファーたちが波に乗っている姿が見える。
 中に砂が入ってくるので、太一は履いているモカシンを脱いだ。まくったパンツの裾から、引き締まった長いふくらはぎがのぞいている。
 栞は思わず目を奪われた。

 こんなふうに明るい陽の下で誰かと歩くなんて、栞にはとても不思議な感じがする。

 二人はしばらく歩いてから、流木の上に腰を下ろした。
< 192 / 283 >

この作品をシェア

pagetop