ロング・ディスタンス
訪問
 ほぼ一か月後、栞は再び太一の住む島に向かった。

 町の埠頭からお昼過ぎの定期船に乗って2時間の旅をする。
 船窓から見えるのはただ海原ばかりの単調な風景。でも、彼に会えると思うとその時間も苦ではない。

 うとうとしかけた頃に、甲高い女性の声で船内アナウンスが入り、もうすぐ島に到着することが告げられる。アナウンスのバックに流れるレトロな音楽はなんとなく昭和の響きがある。


 今回は土日にかけて島で一泊をする予定なので、栞は肩にレスポのウィークエンダーを掛けている。太一が町の旅館を予約してくれた。



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