ロング・ディスタンス
 部屋着に着替えた太一が夕飯を食べている。

「じゃあ。私、これでおいとましますね。また明日」
 栞は太一に声を掛ける。
 彼女はレスポのウィークエンダ―を肩に掛けた。
「あ。食べ終わるまで待ってよ。送っていくから」
「太一さんは仕事から帰ってきたばかりだからいいですよ。タクシーで行きます」
「タクシー!? そんなものこの島にはないよ。ここにはコミュニティバスが運行してるだけだし、この時間じゃ終わってるよ」
「ああ、そうですか。じゃあ、仕方ないですね。お言葉に甘えます」
 栞はリビングに戻って、太一の食事が終わるのを待つことにした。
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