ロング・ディスタンス
太一から連絡があって、あと一時間ほどで帰宅するという連絡があった。他に行く場所もないので、ラーメン屋の大将に頼んでお店で粘らせてもらった。栞はテレビを見ながら大将と他愛のない世間話をしている。栞も病院で働いていると言うと、彼はそこでの仕事についてあれこれ聞いてきた。なんでも彼は娘を食いっぱぐれない職に就かせたいそうで、看護師なんかがいいのではないかと考えているそうだ。残念ながら彼女は看護師ではなく事務職に就いているが、自分の知る範囲内で看護職についての話をした。
おしゃべりな大将と話していたらあっという間に時間が過ぎ、出発の時間になった。栞は大将にお礼を言って店を出た。太一のアパートはそこから歩いて行ける距離にある。
栞は住宅と住宅の間にある細い坂道を下っていく。この島は中央部から海岸に向かって土地が傾斜している。
買い物をしたので荷物が結構重たい。
民家の窓から野球中継の音が聞こえてきたり、夕餉の匂いが漂ってきたりする。少し離れた所に花火を楽しむ家族の姿が見えた。花火のシューシュー言う音と子どもの歓声が聞こえる。なんだか懐かしい気分になる。
アパートに着いたら、太一はどんな顔で彼女を迎えてくれるだろうか。この前桟橋に迎えにきてくれた時のように、疲れていても笑顔を見せてくれるに違いない。もうすぐ彼に会えると思うと栞の胸が高鳴る。
おしゃべりな大将と話していたらあっという間に時間が過ぎ、出発の時間になった。栞は大将にお礼を言って店を出た。太一のアパートはそこから歩いて行ける距離にある。
栞は住宅と住宅の間にある細い坂道を下っていく。この島は中央部から海岸に向かって土地が傾斜している。
買い物をしたので荷物が結構重たい。
民家の窓から野球中継の音が聞こえてきたり、夕餉の匂いが漂ってきたりする。少し離れた所に花火を楽しむ家族の姿が見えた。花火のシューシュー言う音と子どもの歓声が聞こえる。なんだか懐かしい気分になる。
アパートに着いたら、太一はどんな顔で彼女を迎えてくれるだろうか。この前桟橋に迎えにきてくれた時のように、疲れていても笑顔を見せてくれるに違いない。もうすぐ彼に会えると思うと栞の胸が高鳴る。