ロング・ディスタンス
晩餐
 熱帯夜の島を歩き回った後、太一は自宅のアパートに戻った。せっかくシャワーを浴びたのに体が汗まみれになっている。

 こんな夜中に、どこにも行き場所のない離島で彼の恋人は徘徊していた。今日は久々のお泊りデートになる予定だったが、その直前に彼のアパートに珍客が現れたことで全てがひっくり返ってしまった。隣人があんなことをしでかすなんて太一自身もびっくり仰天だ。
 今しがた美加子から太一の携帯に連絡があって、辻堂家で栞を預かっているという連絡があった。恋人の無事がわかって彼はひとまず安心した。
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